[基礎編]わかる!エレクトロニクス商社

なぜエレクトロニクス商社が必要?

顧客である電機メーカーのおかれた状況

電機メーカーはすべてを作っているわけではない

電機メーカーというと、製造から販売までを一貫して行っているイメージがありますよね。
でも実際には、製品を構成する部品の多くは、電子部品メーカーが製造し、エレクトロニクス商社が納入したもの。電機メーカーはそれを結集して製品の開発・組み立てを行い、ブランド価値を付加して販売しているのです。

製品が消費者に届くまで

高度化・複雑化によるスタイルの変化

ではなぜ、電機メーカーはすべての電子部品を自分たちで作ってはいないのでしょうか。
エレクトロニクス業界は日進月歩で技術革新が進む世界です。電子部品もどんどん高度化・複雑化し、すべての電子部品を自社だけで作ることが難しいのです。
また、そのような高度化・複雑化している電子部品を使って、製品を自前の技術だけで開発する事も難しくなってきています。このため、現在では開発の一部を、その分野を得意とするエレクトロニクス商社の技術サポートを受けて行うスタイルが多くなってきています。

電機メーカーの悩みとエレクトロニクス商社

悩み多き電子部品の世界

電機メーカーが製品を世に送り出すまでのさまざまな過程において、エレクトロニクス商社は大きな役割を担っています。ただ、商社の役割は専門的かつ多岐にわたっており、ひと言ではなかなか説明できません。そこで、「エレクトロニクス商社がなかったらどうなるか?」を、顧客である「電機メーカーの悩み」を通して見てみましょう。

「業務負担(部品の多さ、取引件数の多さ等)」の悩み

たとえば電子部品のかたまりとも言えるスマートフォン。一般的なスマートフォンは、およそ700~800もの電子部品で構成されています。
もしも商社がなかったとしたら、電機メーカーはそれらを供給するすべての電子部品メーカーとそれぞれに交渉を行い、調達しなければなりません。これだけの数多くの電子部品メーカーと細かい交渉や打ち合わせを行うとなると、気の遠くなるような膨大な作業量になってしまいます。
エレクトロニクス商社は、顧客である電機メーカーの要望にあった電子部品の提案から交渉、納品までを一手に引き受けることによって、電機メーカーが直面する「業務負担」の悩みを軽減しているのです。

「納品管理」の悩み

スマートフォンの例でもおわかりの通り、現在の電化製品は非常に多くの電子部品から構成されています。そのすべての部品について細かな交渉を行い、決められた数量と納期をきっちりと守るのは実は非常に大変なこと。ひとつの部品が間に合わなかっただけでも製造や発売のスケジュールが大きく乱れてしまうわけですから、納品管理は業務のなかでも最も気を使うとともに、リスクも伴う重要なポイントです。

また、製造の過程ではトラブルが発生することもあり得ます。例えば、需要の変化による増産対応等、当初の生産計画が大きく変更となり、予定していた以上の部品が急きょ必要になるケースもよくあることです。

こうした時に、エレクトロニクス商社は保有している部品の在庫で、電機メーカーの要望に一定期間応え、その間に電子部品メーカーと供給数量の増加の交渉を行うことで、電機メーカーが安定的な生産をできるよう、調整を図ります。

「海外生産シフトに伴う部品調達」の悩み

近年では、電機メーカーの製造拠点は国内だけでなく、世界各国へと広がっています。ここで問題となるのが電子部品の調達です。国内間の輸送であればともかく、海外への輸送や海外間の輸送となるとどうしても手間も時間もかかってしまいます。こうした場合に発揮されるのが、エレクトロニクス商社の物流における管理・調整機能です。
電機メーカーの製造拠点毎に電子部品の需要は日々変動します。そのような中で、生産が滞らないように、電機メーカーときめ細かな打合せを重ね、在庫をうまく調整しながら必要なものを、必要な時に、必要な場所(国や地域)に、いかに最良の状態で届けられるか。こうしたサプライチェーン(供給網)の整備もエレクトロニクス商社の重要な役割のひとつです。

このように、エレクトロニクス商社の基本的な機能は顧客である電機メーカーが抱えるさまざまな悩みを軽減することにあります。それと同時に、電機メーカーと電子部品メーカーの間を取り持ち、両者を最良の形で結びつけるコーディネーター的存在であるとも言えるでしょう。

「技術(部品の高度化・複雑化)」の悩み

電機メーカーが、日々投入される新製品や新技術に関する情報をすべて自社だけで集めるのは非常に難しくなっています。また電子部品自体も、さまざまな機能を集積した高度な半導体が主流である現在では、その機能すべてに精通することは極めて困難です。
エレクトロニクス商社は、こうした個々の電子部品についての専門的な知識や、最新の技術・製品情報を持つ存在として、電機メーカーの知識・技術・情報をサポートする重要なパートナーでもあるのです。

※高度な半導体・・・LSIや超LSIと呼ばれる、半導体のなかでもより集積度の高いものへと進化してきています。

いまエレクトロニクス商社に求められているもの

部品を仕入れて売るだけではない、
エレクトロニクス商社に必要とされる機能とは?

単に「電子部品を仕入れて売る」だけではないエレクトロニクス商社のさまざまな機能。
現在のエレクトロニクス業界においては、各社ともに選択と集中が進んでいます。
エレクトロニクス商社にも、電機メーカーだけでは開発が難しい部分の技術サポートを安心して任せることができるように、高い専門性を持ち、1社でできるだけ多くの部品が調達できる豊富な品ぞろえが求められるようになってきました。

こうした顧客ニーズに対応し、製品開発のより上流の工程にまで食い込んでサポートができる技術力が重要視されているのです。単なる「販社」から技術サポートもできる「技術商社」という存在へ。そのためにも、顧客を知り、顧客の立場に立った視点で必要なサービスを考え、提供することが「選ばれる商社」となるための条件となっています。


エレクトロニクス商社と連携して各工程をクリア

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