半導体(リョーサン)

LSI ニュース&トピックス

2015.05.28
複数の動画処理や3Dグラフィックスに対応したHMIソリューション 「RZ/Gシリーズ」を製品化

~ユーザインタフェースの表現力向上やビデオセンシング等の新しい価値を創造~
2015年04月28日
ルネサス エレクトロニクス株式会社

ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび、産業・家電・OA分野のHMI(Human Machine Interface)搭載アプリケーション向けに、高度な画像処理性能によりUI(User Interface)の表現力を向上する新しいHMIソリューション「RZ/Gシリーズ」を開発し、2015年7月からサンプル出荷を開始します。

新製品は、(1)フルHDの高精細映像や3Dグラフィックス表示のみならず、監視システム等に必要な複数の動画処理や顔認証などのビデオセンシング機能も実現、(2)これまでカーナビなどの車載情報システムで培った画像処理技術をいかして、高度なHMI機能を実現します。さらに、これらの複雑なシステムを開発するために課題となるコストや工数を削減するために、(3)パートナーを中心にエコシステムを構築し、システムインテグレートサービス、GUI(Graphical User Interface)フレームワーク、ミドルウェア、OSサポート、ボード設計サポートや評価・量産ボード販売のサービスを提供します。これによりハードウェア・ソフトウェア開発の工数、費用の増大を抑制することが可能です。

新製品のサンプル価格はRZ/G1Eが4,000円(税別)となっております。量産は、2016年7月より開始し、2017年7月には合計で月産10万個を計画しております。

近年、産業・家電・OA分野の表示・制御機器はスマートフォン、タブレットの影響を受けて、従来のLEDや小型ディスプレイによる単純な表示とメカ式スイッチの組み合わせから、高精細ディスプレイとタッチパネルの組み合わせへ変化し、表示の高品位化が進んでいます。また、ネットワーク機能を搭載することにより、各システムは単独の動作から、機器同士が連携して処理を行うようになっています。さらに今後はIoT(Internet of Things)化が進み、ネットワークに接続された単純なセンサ情報に加えて、カメラから入力された画像情報を分析、判断して自律的に動作するビデオセンシング機能の活用が本格化することが予想されております。それにともない、Linux等のOpen OSの採用、CPUの高速化・マルチコア化、ネットワーク処理、マルチメディア処理、高度なグラフィックス処理が求められており、これらに対応するため、ユーザは高速・多機能な組み込みMPUの導入が必要となります。一方、組み込みMPUの導入によりハードウェア・ソフトウェア開発の難易度、工数、費用の増大が課題となっております。

そこでルネサスは、こうした複雑な機能をできるだけ簡単に安心して開発していただくため、新しいHMIソリューション「RZ/Gシリーズ」を製品化いたしました。新製品は、2Dグラフィックス、WXGAのHMIソリューションを実現する「RZ/Aシリーズ」の上位モデルとして、マルチメディア、グラフィックス機能、CPUを強化したHMIのASSPとしてラインアップします。

新製品の特長の詳細は以下のとおりです。

(1)UIの表現力向上とビデオセンシングを実現する高性能
新製品の「RZ/Gシリーズ」はルネサスオリジナルのフルHD対応の動画コーデックに加えて、3DグラフィックスコアとしてImagination Technologies Limitedの「PowerVR™ SGX540」(RZ/G1E)と「PowerVR™ SGX544MP2」(RZ/G1M)を採用。これらを用いて、HMI機器のグラフィカルな操作画面上に操作方法のガイド動画を表示して、利用者の操作性を向上したり、単純な静止画表示から、動画コンテンツ表示と3Dグラフィックスを組み合わせた効果的なサイネージ表示を可能にするなど、ユーザ製品の付加価値の向上に寄与します。

「RZ/Gシリーズ」は2品種あり、「RZ/G1E」は最大1.0GHz(ギガヘルツ)動作のCPU「ARM® Cortex®-A7」を2コア、「RZ/G1M」は最大1.5GHz動作のCPU「Cortex-A15」を2コア搭載し、従来のRZファミリが対応できなかったハイエンド領域をカバーすることが可能となります。さらに外部DDR3メモリとの接続周波数を800MHz(メガヘルツ)まで高めることで性能面の余裕度を確保し、監視システムに必要な複数の動画処理や顔認証などのビデオセンシング機能を実現可能です。また、USB3.0やPCI-Express、Serial ATAの高速インタフェースを内蔵し、外付け部品無しで機能の拡張が可能です。なお、「RZ/Gシリーズ」ではラインアップ間で機能IPとメモリマップを共通化しており、ドライバと各種ソフトウェアの共通化が可能です。

(2)車載分野で培った先行技術を家電・産業・OA分野へ展開
ルネサスでは車載情報端末向けに「R-Car」を展開。高性能ナビゲーションやIT連携、高品位グラフィックスなどのアプリケーション処理から、リアルタイム画像認識などの安全運転支援で技術および市場をけん引しております。そこで培った先行技術を家電・産業・OA分野向けに最適化して展開することにより、マルチメディアとグラフィックス、ビデオセンシングを実現する高度なHMIソリューションを提供します。

(3)パートナーと連携し、階層に応じたサポート、サービスを提供
複雑なシステムを開発する場合、ハードウェア・ソフトウェア開発の難易度、工数、費用の増大が大きな課題となります。そこで「RZ/Gシリーズ」では「R-Car」で実績のあるパートナーを中心にエコシステムを構築し、システムインテグレートサービス、GUIフレームワーク、ミドルウェア、OSサポート、ボード設計サポートや評価・量産ボード販売のサービスを提供いたします。これらのサービスを活用することにより、ユーザは複雑化するシステムを開発する負荷を低減し、開発リソースをシステムの負荷価値を高めるアプリケーション部分に注力いただくことが可能となります。現時点で「RZ/Gシリーズ」へのサービスを提供いただく予定のパートナーは別紙の通りです。

ルネサスは今回、「RZファミリ」にHMI用ASSPとして上位シリーズ「RZ/Gシリーズ」を追加することで、一層複雑化する表示・制御機器を開発するユーザのニーズに対応するソリューションを提供します。今後はセキュリティやリアルタイム画像処理技術など、IoT時代に重要となる技術を取り込んだラインアップを展開する計画です。

ルネサスは、2015年5月13日~15日に東京ビッグサイトで開催されるJapan IT Week内のIoT/M2M展および組込みシステム開発技術展に出展し、本製品を用いたデモンストレーションをはじめ、「一歩先の世界へ」をテーマにIoT向けソリューションを紹介する予定です。

事業紹介